もたはんの歴史と由来
もたはんは創業1913年のいわゆる老舗の呉服屋です。
初代・酒井茂太郎(もたろう)が創業者で、創業地は現在と同じ場所だったそうです。
ただ、当時は辺り一体田んぼだらけで、茂太郎自身も店の裏でお米を作っていました。そんな田舎の普通の呉服屋というのが「もたはん」のスタートです。
当時の店名は「酒井呉服店」という名前で2015年に「きもの もたはん」になるまではほぼ同じでした。「ほぼ」というのは途中で「さか井呉服店」になったり「呉服のさか井」になったりと細かい変更があったためです。
なぜ「もたはん」になったのかと言えば、特に田舎の方はお分かりかもしれませんが「屋号」が関係します。もたはんのお店があった一帯はかつて「中藤島村」という村でした。一軒一軒の家には「屋号」というその家一軒一軒の呼び名があり、当時の酒井呉服店は初代・茂太郎の名前から「もたはん」と呼ばれていました。
察するに「もたろうさん」→「もたろうはん」→「もたはん」という流れがあったんではないかと考えられますが、正確には分かりません。一つ言えることは、創業から100年以上経った今でも「もたはん」と呼んでくれるご近所さんやお客さんが周りにいるという事。これが当時から「もたはん」がお店の屋号として、そして愛称として定着していたという証拠です。
これを書いている4代目の私は、実家のお店に戻ってきた時に取った電話で「もたはんけ〜の〜?」福井弁で「もたはんか?」と言われて「まだもたはんと呼んでくれるお客さんがいるんだ!」と感動したのを覚えています。これがのちの2015年に店名を変えるきっかけの一つになりました。
店名を変える際には取引先などから「お客さんが離れる」など反対意見も沢山ありましたが、今では地域の子ども達ですら「もたはん」と言ってくれているので次の時代に「もたはん」の名前を残せた気がしています。