今年で創業110年を迎えました。
おかげ様でもたはんは今年、創業から110周年を迎える事ができました。
先日、110周年を迎えるに当たり
地元の商工会議所の方に取材を受けました。
その際に「継ぐ、継がないの分かれ道はなんなのか?」という質問をされたので
「後継者自身が継ぎたいと思える何かを見出せるかどうか」だと答えました。
継げと言われて継ぐものではないし
継ぐなと言われて継がないものでもない。
後継者が継ぎたいと思える「何か」を
その事業に見出さない限りは継がなくてもいいし
継いでも自分の為にはならないというスタンスです。
私は大学生まで、呉服屋に生まれながら
「何か」を見出せてはいませんでした。
しかし、大学時代に行った海外研修や、就活時代の親や昔なじみの取引先の言葉。
そして呉服屋を偵察していた新卒時代を経て
着物業界に「未来」と「面白さ」を感じる事ができたのでここにいます。
「敷かれたレールじゃん」と言われてしまいそうですが
小さい頃から引っ込み思案の天邪鬼が
よくもまあブーメランのように戻ってきたなと
自分では自負しております(笑)
今のもたはんの名前の元にもなっている
初代・酒井茂太郎こと、ひいおじいちゃんが
この地に開業してくれたおかげで、110年後の今があるので
機会があれば直接お礼を言いたい所ですが
タイムマシンが発明されるのはまだ先のようです。
実は今でこそ「きものもたはん」が定着してきていますが
2015年までは「呉服のさか井」(3代目)
その前は「さか井呉服店」(2代目?)でした。
じゃあその前はというと
最近改装前の蔵にあった初代の手持ち金庫が出てきました。
そこには「酒井茂太郎商店」と記載が!
当時のもたはん周辺は中藤島村という村で
周りには田んぼしかなく、その中で初代が着物だけでなく
いろんな日用品を取り揃えて店をしていたと聞いていたので
スタートが商店だったというのには納得です。
その初代からすると100年以上経った現代の子孫が
まだ呉服屋をやっていて
しかも店名が屋号とは言え
自分の名前を冠したものに変わっている事を知ったら、
どんな顔をして何を言われるのか気になる所です。
更にタイムマシンの開発が急がれますね(笑)
何にせよ今の僕の代の仕事は
着物業界というものに次の代が
少しの未来と面白さを
感じてくれるものにする事だと思っています。
僕自身も、自分自身が面白いと思える事業を継続していけるよう
努力していきたいと思います。